胎児期から見てみましょう

リコピンは胎児期から幼年期まで、しっかりと我々の生活に影響しています。 ある研究では、抗酸化剤（特にリコピン）による栄養補助が子癇前症¹（高血圧、腎障害、その他合併症を伴う妊娠が原因となる症状）を発症する危険性が高い、初産婦に有益である可能性が示されています。

その恩恵は出産後も継続しているようです。別の研究では一日に7カップ相当以上の果物を摂取した母親からの幼児は認知発達が促進されることが示されました。² この効果はリコピンを含有する果物では更に促進されました。² 幼い子供の体内ではカロテノイドが繊細な肌細胞を紫外線（UV）から守る光保護剤として機能している可能性があります。

¹ Sharma, JB, et al., 初産婦における妊娠中毒症及び 子宮内胎児発育不全症に対するリコピンの効果、産婦人科、Maulana Azad医科大学及び Lok Nayak 付属病院、ニューデリー、インド

² Bolduc, F.V., et al., 妊娠中の母親の果実摂取の増加による幼児の認知発達の促進: 出生コホートシステム試験の結果、EBioMedicine (2016), http://dx.doi.org/10.1016/j.ebiom.2016.04.025

³ Aust, O, et. al., トマト由来の製品による栄養補助は、ヒトのリンパ液内のリコピン、フィトフルエン、フィトエンレベルを上昇させ、紫外線が誘発する紅斑を予防する U.1 Institut für Biochemie 及びMolekularbiologie I, Heinrich-Heine-Universität, デュッセルドルフ、ドイツ

楽に呼吸しましょう

私たちが大人に成長すれば、リコピンもそれに応じて機能します。運動は健康なライフスタイルに重要であり、いくつかの研究でリコピンによる栄養補助が、運動誘発性ストレスを様々な方法で緩和することが示されています。カロチノイドのスーパースター、リコピンは激しい運動の最中でも健康な肺の維持に役立ち⁴、ウルトラマラソンランナーの血管内皮拡張を改善し⁵、身体活動が発生させるフリーラジカルによる細胞損傷の予防に役立ちます。⁶

⁴Neuman, I, et al.,天然の抗酸化剤リコピンによる運動誘因性喘息の酸化ストレスの減少、アレルギー科、Hasharon 病院、Golda医療センター、Petach及びSackler医学部、テルアビブ大学、イスラエル

⁵Samaras, Antonios et al.,一流マラソンランナーの酸化ストレスマーカー及び血管内皮動態への特別な炭水化物-プロテインバー及びトマトジュース栄養補助の効果 食品及び化学毒物学69 (2014): 231-36. http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0278691514001586

⁶Harms-Ringdahl, M et al.,トマトジュースの摂取による激しい身体活動後の血清中の8-oxodG濃度の低下 栄養ジャーナル(2012): 11-29. doi:10.1186/1475-2891-11-29

きめの細かいスベスベした肌に

肌は人体最大の器官です。歳を重ねるごとに肌の柔軟性、輝き、弾力性を維持することが大変になってきます。肌における抗酸化の状態と、表皮の滑らかさには明らかな関連性があります。⁷ リコピンなどのカロテノイドは、見た目にも触れても健康な肌を保つために内部から作用します。

⁷ Stahl, W., et al., 食事カロテノイドによる光保護：概念、メカニズム、根拠及び今後の展望 分子栄養及び食品研究(2011): 1-9. doi:10.1002/mnfr.201100232

人生に不可能はない

基本的に我々は種の存続を確保しようとします。 そのためにできるだけ長い生殖能力の維持は重要であり、リコピンは様々な年齢の男女の身体に恩恵をもたらします。 例えばある研究では、リコピンが健康な精子の生存能力及び活動を助けることが判っており、男性の機能維持に役立っています。^8,9

⁸ Durairajanayagam, D, et al., リコピン及び男性不妊症‐予備調査報告書。 生殖医学センター、Glickman泌尿器腎臓研究所、Clevelandクリニック、Cleveland, オハイオ、米国

⁹ Gupta, NP, et al., 突発性男性不妊症におけるリコピン療法‐予備調査報告書。 泌尿器科、全インド医療科学研究所、Ansari Nagar　110029、ニューデリー、インド

心臓を鍛えましょう

歳を重ねるごとに、心臓血管のケアが一層重要になってきます。 カロテノイドは中年期の心臓の健康にプラスの影響を与えます。ある臨床研究では、栄養補助後にリコピンレベルが上昇し、酸化LDL（低密度リポ蛋白）コレステロール低下との相関を示しました。¹⁰ また北欧や他の西欧の国々と比較して地中海地域の人々が健康で長生きなのは、地中海料理に豊富なトマトやその他の栄養価の高い野菜が含まれているためだと考えられています。¹¹

¹⁰ Agarwal, S., et al., トマトリコピンと低密度リポ蛋白の酸化：ヒトの食事指導研究。Lipids (1998): 981-984. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9832077 より検索

¹¹ Mordente, A, et al. リコピン及び循環器疾患：最新情報。 Curr Med Chem. (2011): 1146-1163.

健康な視力の維持

ルテインやゼアキサンチンなどのカロテノイドは、強力な抗酸化剤として機能し、我々の目を保護しています。 リコピンは最も容易に酸化するカロテノイドであり、リコピン自身が変化して他の植物性栄養素の有益な特性を増強すると考えられています。¹² 血中に循環しているリコピンは、ルテインの酸化を予防し眼球への輸送を助けます。またリコピンは、損傷したカロテノイドを修復して「再利用」し、カロテノイドが酸化促進剤へと変化しないように働きます。¹²

¹² Böhm, F., et al, 活性化（一重項）酸素及び遊離基と食事に含まれるカロテノイドとの相互作用：ヒトの健康への潜在的影。分子栄養及び食品研究(2012): 205-216. doi:10.1002/mnfr.201100222

骨に有効

閉経は様々な症状や新たな健康不安をもたらします。 骨粗鬆症は一般的にこの時期に発症します。 ある研究では、閉経後のリコピンの栄養補助は、酸化ストレスパラメーター及び骨粗鬆症に関連するタイプIコラーゲン骨吸収マーカーN-テロペプチド（NTx）の減少を示しました。¹³ 別の研究では、閉経後の女性がリコピンを適度に含む食事を30日間継続することで、N-テロペプチド（NTx）血漿レベルの20％の上昇が見られました。¹⁴

¹³Mackinnon, ES, et al., 閉経後の女性では抗酸化剤であるリコピンの栄養補助のより酸化ストレスパラメーター及び骨吸収マーカーN－テロぺプチドが有意に減少する 医学科、内分泌代謝科、St. Michael's病院、 30 Bond St., トロント、ON, カナダM5B 1W8.

¹⁴ Rao, L., 閉経後の女性ではリコピンの摂取により酸化ストレス及び骨吸収マーカーが減少する. 国際骨粗鬆症(2007): 109-115. doi:10.1007/s00198-006-0205-z

多ければ多いほど幸せ

我々の微量栄養素のレベルは歳をとると変化します。 歳をとるにつれリコピンの吸収量¹⁵は徐々に減少します。 カロテノイドは生涯を通じて有益ですが、高齢者ではその効果を活かすため、リコピンを多く摂る食生活や栄養補助を継続することが大切です。

¹⁵ Stuetz, W., et al., 年齢階層別（35－74歳）一般住民における血漿カロテノイド、トコフェロール、レチノールのレベル：欧州6カ国の横断研究。 栄養(2016): 614.

進行を抑制

健全な前立腺を保つことは高齢の男性なら誰でも気になるところですが、ここでもヒーロー栄養素、リコピンが重要な役割を果たします。 リコピンによる栄養補助は¹⁶年齢と共に肥大する良性前立腺肥大症（BPH）に有効であることが示されました。

¹⁶ Silke, Schwarz, et al., リコピンは良性前立腺肥大症患者における疾病の進行を防止します、栄養ジャーナル： (2008): 49-53